最強の天然物質「カサガイの歯」.jpg

欧州に広く生息している軟体動物「カサガイ」の歯が
知られているなかでもっとも強度の強い天然物質でできている可能性があるとの研究論文が2月18日に発表されました。
(掲載は英国王立協会(British Royal Society)の学術誌“Journal of the Royal Society Interface”)

今回はこの「カサガイ」とはそもそもなんなのか、
従来最強とされてきた天然物質「蜘蛛の糸」との比較
カサガイの歯の応用について特集します。


「カサガイ」ってどんな貝?


カサガイとは、カサガイ目・ヨメガカサ科(ツタノハガイ科とも)
に分類される巻貝の一種で、
大型のものは拳くらいのサイズになると言われています。
殻の形が傘のような形をしていることからカサガイと呼ばれているようです。
カサガイ.jpg

調べてみるとたくさんの種類がいることが分かったのですが、
今回の研究で使われた種類はセイヨウカサガイという種類だそうです。

ノルウェーからスペインの潮間帯の岩礁に生息しています。

ヨーロッパに旅行に行って朝の市場をのぞいてみると
わりとどこにでも売っているみたいです。

値段はだいたい日本で買うアサリの半額以下くらいで買えるようです。
サシミにしてわさび醤油とかで食べると美味しいらしいです。
(アワビっぽい味がするらしい)




従来最強「蜘蛛の糸」との比較



今回の研究で注目されている「カサガイの歯」。
これはカサガイの歯舌(しぜつ)と呼ばれる舌のような器官のうえに
列をなして生えている長さ1mm足らずの歯のことです。

「引張強度」とよばれる物質が引き延ばしたり引っ張ったりしても
破損せずに耐えられる最大応力(単位はGPa)について、

蜘蛛の糸では1.1GPaほどなのに対して
カサガイの歯3~6.5GPaもの強度を持つ
と研究チームは指摘しています。

ちなみに一般的なコンクリートで0.03GPaくらいであることを考えると
めっちゃくちゃすごいことがわかります。

ちなみにコンクリートの引張強度が0.03GPaとは直径10㎝の
コンクリート柱に体重60㎏の人が400人乗っても壊れないくらい
丈夫だ、ということです。
(要するにコンクリートですら想像できないくらい丈夫ってことです笑)

論文では、カサガイの歯がこのように頑丈なのは、
岩の表面からエサを削り取るのにつかわれる際、力学的に頑丈である必要や
甚大な破損を回避する必要があるからである、と述べられています。




未来の用途



カサガイの歯の力学的な強度は航空製造の最先端などに用いられている
「カーボンファイバー」などの最強の合成繊維などに匹敵すると論文で述べられている。

さらなる調査によってカサガイの歯は有機物成分と無機物成分の両方が混合された「ハイブリッド材料」
であることから今後の研究・応用にも期待が高まっている。

このカサガイの歯の複製が可能となれば、破損した歯の修復に始まり、
防弾チョッキや未来型の自動車や航空機の製造といったありとあらゆる分野に
応用が可能な超強力かつ軽量な物質として脚光を浴びる日が来ることなるでしょう。




「自然界最強」とかいうと近いうちにテ○フォーマーズとかに
出てくるかもしれませんねw
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